彩色日記

その日を彩った出来事を毎日更新するブログです

プロのプレゼン。 2023.06.06

 やっぱりジョブズのプレゼンはすごいなと、そう感じた今日でした。多分一番有名な初代iPhoneの発表プレゼンですが、一度何がすごいのか自分なりに言語化しておきたい。

 

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 一つにその構成。これは誰が見ても明らかではありますが、最初にアップルの歴史と共に、今日が如何に変革の日なのか(the dayという言葉が最適かも)というのを印象付けて、次に新商品3つ発表すると思いきや実は一つになったデバイスでした!という。続いて今までの携帯が抱えていた課題を簡単に説明し、それをどう解決するかの解説。まるで開発までのダイジェストを見ているみたい。最後に再度iPhoneが持つ特徴をリストアップする。このプレゼンの良さの全ての軸はこの構成にありました。当然ではありますが。

 

 二つに挟み込まれる軽いジョーク。ジョブズに関わらずも、海外の人は日常も含めジョークの使い方が上手(洒落じゃない)だなと感じます。ジョークがないとやっぱりどこかで飽きてくる。こんなに素晴らしい商品のプレゼンであってもその可能性は十分にあると思います。3つの商品が実は1つでした!のタイミングにジョークを挟むのには結構勇気がいると思うんですけどね。でも、だからこそわくわくするというか。旅行が一日延期になっても待っていられるのと同じでしょうか。じゃあ結局どうなるの?っていうモチベーションでプレゼンを見てられる。人を惹きつける魅力はここにある気がします。

 

 三つにキーワードの使い方。「reinvent the phone(電話を再発明)」とか、「the best pointing device in the world ・・・ fingers」とか。後者は一つ目に挙げたプレゼンの構成にも密に関わってくる話ではありますが、特に前者です。とても耳に残りやすい簡潔でインパクトのあるキーワードです、もうこれ以上ないくらい。そして事実結果的にその日から、今までの携帯電話というのは過去になってしまった。如何に今日が歴史的な日なのかを強調しつつもiPhoneの革新性を伝えることも忘れず、結果的にはただの誇張で済まさない。素晴らしい商品があるからこそこのようなキーワードが生まれるのでしょうか。

 

 最後に分かりやすいスライド。文字ばかりの情報過多なものではなく、今話している内容に関連したシンプルな画像や図のみ。文字は多くても2行、それも文字のサイズを変えて単調にならないようにしている。勿論時間を掛ければ情報過多なスライドからは十分以上の情報が読み取れますが、画像や図だけのスライド、時に1文字すらないスライドの方が、発表の内容が頭に入ってきやすい。プレゼンを振り返った時に頭の中で要点を整理しやすい。人間が持つ「場面を(精密でないにしても)写真のように保存できる」という能力を理解しているから画像や図のスライドにして、文字は極力減らしていると考えます。

 

 他にも、プレゼン中全くと言っていいほど噛まないとか、喋るスピードとか、上げたらまだあるとは思いますが一旦このへんで。

 

 このプレゼンをなるたけ簡潔に表現するなら「引き算し尽されたプレゼン」とでもなるでしょうか。余計のないスライド、喋る内容。引き算が上手いから必然的にたっぷりとした間が生まれて、聞きやすいプレゼンになる。印象にも残る。結局「引き算」に全て集約されていました。

 

 今日がこの言語化でした。これを聞いていたら自分がプレゼンの天才なんじゃ?と勘違いさせてくれるほどの素晴らしいプレゼン。何回噛んでも味がしますね。